今回も初心者向けの記事になりますが、相場を数年経験している方も何か見落としていたポイントもあるかもしれませんので、中級者以上の方もご一読いただければ幸いです。
現在、日本株式市場には3700社以上の企業が上場しています。
参考資料→JPXホームページ
この中から銘柄を選び、資金を投入するわけですが、もちろん闇雲に手を出して良いわけではありません。
今回はそんな3700社以上の企業から1%でも当たりを引く確率を上げるための方法を順に検証していきたいと思います。
もくじ
あなたはキャピタル派?インカム派?
銘柄を選ぶ前に、ご自身の投資の骨子を決めねばなりません。
簡単な質問をしますので答えてみてください。
- 稼ぐ理由は今すぐにでもお金が欲しいから
- 難しいことはよくわからないし、覚える気もない
- 1日に何度も株価をチェックする余裕がある
- 大きく稼いだらスパッと投資から足を洗える
- 貯金もあまりないし、高齢だ
以上の質問に3つ以上該当する方には『キャピタルゲイン狙い』
2つ以下の方には『インカムゲイン狙い』
をおすすめします。
もちろん100%縛るわけではなく、バランスよくやっていただいても大丈夫です。
それでは、キャピタルゲインとインカムゲインについて解説をします。
キャピタルゲインとインカムゲイン解説
■キャピタルゲイン
株価の値上がり(空売りの場合値下がり)による差額で利益を得る方法。
例えば、100株500円(実際の金額は50000円と手数料)で購入した株が1000円になれば、差額500円で50000円の利益となります。
※実際は税金でおよそ20%と手数料が引かれるため、40000円弱の収入となる。
■インカムゲイン
各企業が毎年1~2回、稼いだ利益から支払われるお金を配当金といい、株主に還元されるお金です。
配当は会社により様々で、全く支払わない会社(無配)もあれば、株価の5%以上の配当を還元する会社もあります。
ちなみに日本の上場企業全体の平均はおよそ2%前後と言われており、近年は欧米諸国などに倣い、配当の増額(増配)が積極的になりつつあります。
配当とは別に株主優待という制度もあり、クオカードや自社製品などを還元している企業もあります。
キャピタルゲイン同様、配当金にも同じく約20%の税金がかかります。
このように、キャピタルゲインとインカムゲインでは利益の狙い方がかなり違うので、銘柄を選ぶ際に両者のどちらを選ぶかで大きく銘柄の選定基準が変わります。
リスクで言うと、高リスクなのはもちろんキャピタルゲインで、資金が数倍になる可能性もあれば数分の一になる可能性もあります。
インカムゲインは株価をある程度無視することができます。
ただし、資金が乏しい段階では毎年雀の涙ほどの収入になりますので、毎月の入金と複利効果で長い期間をかけて利益を膨らませていくイメージになります。
もちろん、会社の倒産や配当の減配など、インカムゲインにもリスクは存在しますが、キャピタルゲインに比べると遥かに低リスクです。
それでは、両手法に適した銘柄の選び方を検証していきます。
キャピタルゲイン狙いの手法例
ひとえにキャピタルゲイン狙いと言っても様々な手法があります。
- 好材料に乗る通称イナゴ
- 好決算銘柄狙い
- 将来の成長を先取りして狙うグロース投資
- 割安株をねらうバリュー投資
例を4つほどあげてみました。
どれをメインに展開するかは個々の判断によりますが、ひとつ必ず決めて頂きたい事があります。
それは『期間』です。
いつ売るのか?
これをしっかりと定めないと、いつまでも資金は拘束されて新たな投資先に資金を投入できません。
期間を定めないために、含み損の銘柄を長期間売らずに放置する“塩漬け”に発展するケースもよく見られます。
これが“株は買う時よりも売る時の方が難しい”と言われる所以です。
それでは上の4つの手法に、ひとつずつ期間を設定してみたいと思います。
- 好材料に乗る通称イナゴ
→10%利益が乗ったら売却 - 好決算銘柄狙い
→次回の決算直前まで - 将来の成長を先取りして狙うグロース投資
→1年経過して再判断 - 割安株をねらうバリュー投資
→割安でなくなったら
このようにリミットを設けていれば、少なくとも長期間資金を拘束される塩漬けは避けられます。
グロースとバリュー投資には入念な下調べとある程度の専門知識が必要で、イナゴ手法は材料が出た時の瞬発力が必須になります。
従って今回は、“好決算銘柄”のキャピタルゲインを狙うための銘柄探しを検証したいと思います。
好決算銘柄の探し方
毎日のように各社から決算が発表されています。
図のようにほぼ毎日発表があり、4/30に至っては134件もあります(確定ではないので実際の件数は上下します)
この決算スケジュールを確認したい時はIFIS株予報が最も見やすくお勧めです。
一度チェックしてみてください→IFIS株予報サイトリンク
もちろん全社チェック出来れば一番ですが、大量に発表される時はどうしても時間の都合上、不可能に近いと思います。
そこで利用したいのがKabutanのサイトです。
ご覧の様に、一目でどういった決算結果だったのか分かるようにまとめてくれています。
こちらを毎日チェックして、ポジティブ内容だった銘柄をメモしておき、分析にかけます。
好決算銘柄をふるいにかける
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
とはいっても今回は初心者向けに見るポイントだけ絞っていきますので気楽に構えてください。
まずは画像をご覧ください↓
2Qの決算結果が、前年を上回り、かつ、会社の予想を超過している銘柄の例です。
こういった銘柄は、次回決算への期待も高くなり、基本的には買いが断続的に入りやすいので狙い目と言えます。
こういった好決算直後の株価の動き方には2通りのパターンがあります。
- 決算までに期待買いがすでに相当量入っており、好決算だろうと一旦出尽くしで下落する。
- 素直に市場は評価し、しっかりと上昇する。
このように、決算前に購入すると思い通りの好決算であろうと下落する場合があり、大きなリスクを負わなくてはなりません。
従って、決算直後の動きを追い、押し目(株価が調整しきって上げに転じたポイント)にて参戦することをおすすめします。
もちろん、押し目など作らずに上げ続ける銘柄もありますが、そういった動きをしたのであれば、縁がなかったと諦めることも肝心です。
そのために出来るだけ複数の好決算銘柄を監視しておくことが重要となります。
値上がり益で利益をあげている人は、愚直にひとつの事をパターン化してやり続けることが出来る人に多いです。
自分の得意な形になるのを待ち、そこでエントリーし続けています。
色々なパターンを模索し、手を出してもどれも上手くいかなかったり、中途半端になりがちです。
今回のキャピタルゲイン狙いの手法はあくまで一例ですが、自分なりの必勝パターンを見つけ、それ以外は一切手を出さない我慢や忍耐は、相場の世界で生きていくためには何よりも重要な事です。
慣れてきたらこの手法に更に独自にエッセンスを加え、ブラッシュアップすることも忘れずに行っていってください。
インカムゲイン狙いの手法例
では、インカムゲイン(配当金狙い)の銘柄選びについて検証します。
今回は100%配当金狙いの銘柄に特化します。
高配当株を探す時の順序をまとめましたのでご覧ください。
- 一般的に高配当と言われる利回り3%以上の銘柄を絞り込む
- 自己資本比率50%以上で有利子負債の少ない銘柄を更に絞り込む
- 直近3~5年間の配当結果を見て増配、又は配当金額を維持しているかチェック
- 直近5年間の売上高が増えている、又は維持しているかチェック
- 将来的に問題のなさそうな業種かどうかをチェック
- チャートをチェックして下落の押し目を狙う
順番に説明していきますね。
まずは1ですが、こちらは各証券会社のスクリーニングツールや、Yahooファイナンスなどを利用すればすぐに絞り込めると思います。
次の2ですが、会社の倒産や経営悪化の可能性を極力避けるためにチェックしておく必要があります。
3は株主還元に積極的か、特別記念配(会社創業〇周年などの際、特別に配当を上乗せすることがある)などがなかったか、などを調べるためにチェックします。
4は配当だけ高くて、会社自体の成長が止まっていないかをチェックします。
最低でも現状維持が数年続いている銘柄をチョイスしよう。
5は今後衰退していくであろう産業を極力避けるためにチェックします。
とはいえ、未来のことは誰にも分かりませんので、感じたままで大丈夫です。
出来れば成長産業を扱っている会社の方が良いですね。
6は高値掴みを防ぐためにチェックします。
とはいえ長期投資なので過度に気にしすぎても一向に何も買えませんので、ある程度の妥協は大丈夫ですが、出来るだけ安く買った方が利回りも上がりますし、余った資金を他銘柄に回すことができます。
あとは、年に数回市場全体が調整することがあり、その時は思いのほか安く購入することが出来たりしますが、狙って出来るものではありませんので、遭遇したらラッキーくらいに思っておいてください。
複利効果に関して過去に記事にしてありますので、詳しく知りたい方は是非ご一読下さい↓
ポートフォリオのバランスを取ろう
6項目の条件を満たした銘柄を今後購入していくわけですが、業種ごとのバランスも考慮する必要があります。
政治的な問題や環境の変化によって、全く利益が出せなくなってしまう業種があるかもしれません。
分かりやすい例を極端に言うと、EV車が急速にシェアを拡大し、石油燃料が全く必要なくなってしまったりすると、関連する会社は大幅な減益を余儀なくされます。
そういった銘柄でポートフォリオの大部分を占めるような買い方をすると、全体的な株価はもちろん、減益による経営悪化で配当の減配をされたり、最悪の場合倒産もあり得ます。
偏った業種で資産を集中させないようになるべく業種は分散させましょう。
まとめ
投資による利益獲得において、キャピタルゲイン狙いはやはり難易度が高く、短期で大きく稼げる可能性のある反面、リスクも相当負う必要があります。
もし、将来的な資産の増加を目標とされているのであれば、インカムゲインによる複利効果を狙った長期投資をおすすめします。
インカムゲインの圧倒的に素晴らしい点は、銘柄を保持してさえいれば一生涯配当金という不労所得を享受出来る点にあります。
投資金額が少なくても、毎月コツコツ入金を続け、ルールに基づいて銘柄を購入し続ければ、将来的に莫大な資産に育ってくれます。
今回紹介した銘柄の購入基準はあくまで一例です。
相場に身を置けば置くほど、銘柄選定の熟練度は増し、より正しい銘柄の購入が出来る様になってくるでしょう。
キャピタル狙いでもインカム狙いでも、まずは少額から相場に参加し、熟練度を上げていくことが先決ですので、今回の記事を参考にして頂き、まずは失敗を恐れず、経験値を蓄えながら銘柄選定の技術を磨いて下さい。