株式取引において、“買う(buy)”という絶対的な基本行動は誰しも行っていますが、“空売り(sell)”を基本戦術に組み込んでいる方はかなり少ないと思われます。
今回はその空売りにスポットを当てて、お話していこうと思います。
もちろん、空売りをしないといけない!!と言っているわけではありませんのでその辺、ご理解下さいね。
空売りをしない理由
株式市場に参加するにおいて、殆どの方はお金を稼ぎたい(資産を増やしたい)方が大多数でしょう、当たり前ですが。
株は買うだけではなく、売ることでも利益を出すことが出来るのです。
では、何故それを分かっていても手を出さないのか?
理由は以下のようなことではないでしょうか?
- よくわからない(仕組みや方法)
- インカム狙いなので必要ない
- 何か怖い
- 信用口座を開いていない(もしくは開きたくない)
細かい部分を端折るとこんなところではないでしょうか?
ひとつひとつ説明する前に、わたくしが空売りも身に付けた方が良いと思っている理由についてまずは書かせていただきますね。
空売りを身に付けた方が良い理由
まずはこちらの図をご覧ください↓

日経平均の30年チャートの解説入りです。
社会実情データ図録さんからお借りしました。
これを見て気付くことがありますね。
株価は数年単位で下がり続けている期間もある
ということ。
アベノミクスが始まって約7年半、確かに株価は上昇を維持しています。
今の時期は買いのみで取り続ける事が出来ますが、株価が数年単位で調整する時が必ず訪れると思っています。
そんな時に買いのみで戦いを挑んでも、勝率はかなり低くなることでしょう。
ましてや短期間(数週間~数か月)スパンで見れば、下がりっぱなしの期間も上昇基調の今ですらポツポツと散見されます(直近だとコロナがまさにそうですね)
かくいうわたくしもメインの手法は買いです。
しかし、ヘッジ(下落局面と判断した時に一定数の売りを入れる)として空売りを利用します。
長期投資をメインにしている以上、ポートフォリオの銘柄は基本的に全体調整の際に売ることはしません(NISAでの買い付け銘柄は尚更売れない…)
しかし、明らかな下落局面で下げ止まるまで評価損を膨らませていくのを黙ってみているのではあまりにもったいないと思っています。
そこで保有銘柄は一切売らずに、ヘッジとして空売りを利用するわけです。
人によっては空売りのみで資産を築き続けている人もいるくらいですし、しっかりと身に付ければ決して難しくはなく、手持ち武器も増えるわけです。
現在のような(2020年6月初週)絶好調相場の時こそ、空売りを身に付けて次の暴落や調整期間に備えるべきだと思います。
事項から具体的な空売りの方法を紹介していきたいと思います。
もちろんインカムゲインや株主優待のみを目的としている投資家の方には無用な手法だと思われますので、ここまで読んで頂いてなお空売りは必要ないと判断した方は、ここでブラウザバックして頂いて大丈夫です、ここまで読んで頂いただけでも感謝いたします☆
空売りの仕組みと始め方
空売りの仕組みや始め方、ここがイマイチ理解できない方も今までお話しした中でも結構いらっしゃいました。
その際に受けた質問をQ&A方式でご紹介します。
Q:売るってどういうこと?持ってないのにどうやって売るの?
A:株を証券会社から借りて売ることになります。
従って、全ての上場銘柄を借りれる訳ではなく”貸借銘柄”と記載のあるもののみ空売りに利用することが出来ます(証券会社のサービスによってはデイ限定で空売れるものもありますが)
また、空売りには”信用口座”が必ず必要になるため予め開設しておく必要があります。
Q:売って利益を出すってどういうこと?
A:基本的には買いの真逆と考えてもらえば大丈夫です。
例えば買いの場合、500円で買って600円で売れば+100円の儲けですが、600円で空売って500円で買い戻せば+100円の利益となります。
600円で証券会社から借りた銘柄を500円で返却したので証券会社から差額の100円をもらえる、というイメージです。
Q:空売りをする時の注意点は?
A:買いはLong、売りはShortと呼ばれているように、空売りはサッと売ってサッと買戻して利益を出す方がうまくいく場合が多いです。
これは株の性質上、下がる時は一気に下がり、上がる時はジワジワと上がっていくことに起因します、最も最近はAIなどの影響で両方向に一気に動くことも多くなってきていますので一概にくくることはできませんが。。
それから、株価下落中の会社は株価対策にGoodニュースをIR発表したりもするので、やはり売りの持ちすぎは少々危険と言えますね。
以上のような感じです、障害となりえるのはやはり信用口座の開設でしょうか?
これは証券会社によって審査が異なりますので、ぜひメイン口座の口座開設概要をチェックしてみてください。
空売りのメイン戦術
それでは具体的にわたくしがどのように空売りを利用しているかを簡単にご説明いたします、ほんの一部のみになってしまいますが参考になれば幸いです。
前述しましたが、わたくしは買いをメインにしていますので、通常相場ではよほど自信がない限り空売りはしません。
しかし、ある程度の条件を満たし、下図黒丸のような足などが出た場合、空売りを入れる場合があります。

おそらくこの足を見た方の殆どは良くない印象を受けたと思われます。
そうです、わたくしの売りのメインサインは“移動平均線から上に乖離した極端に長い上髭”です。
しかし、それだけでは材料としては若干不足で、その他に以下の条件も加えています。
- 他の銘柄でも同じような足を確認できる(地合い悪化のサイン)
- 短期的な視点で空売りするので、個別の特大材料で上がってしまっていないかをチェックする(地合いやテーマが下支えで上がっていたかどうかの確認)
- 好決算や大幅な増配などの株価を下支えされるようなニュースが出てないかをチェック
ヘッジをしにいって逆にやられる事ほど残念なトレードもないので、出来るだけ慎重を期しているわけです。
今回は代表的な足での空売りポイントを紹介しましたが、他にもポイントとなるローソク足はいくつかありますので、興味のある方はお調べ頂ければ、と思います。
そして、空売りをヘッジとして導入するには、普段から経済ニュースや世界情勢のチェックを怠らない努力も必要になります(今回のコロナ騒動もアンテナ感度の高い方は初動で売りを入れ、成功した方も多い事でしょう)
あとがき
空売りという、大多数の個人投資家が敬遠しがちな手法を今回ご紹介しましたが、考え方は”買いの真逆”という認識でほぼ間違いないと思います(上昇と下落局面では株価の動き方は結構違いますが)
最初の内はお好きな銘柄のチャートをひっくり返して見て練習してみてください。
普段、買いのポイントだと思っていたところがひっくり返すことで売りのポイントにもなっていることが発見できれば、売りへの恐怖心も少しは薄れると思います(自分はそうやって売りへの恐怖心を取り除きましたw)
株価は基本的には上を目指すことは間違いありません、世界は常に成長しているからです(国によっては一概には言えませんが)
しかし、買われた株はいつかは売られますし、高値圏になればなるほど、いつハシゴを外されるか分からない恐怖から、ちょっとしたBADニュースがきっかけで芋づる式に株価が暴落することもよく見られます。
そんな時に大事な長期銘柄を狼狽するよりも、一時的な下落を凌ぐヘッジとして空売りを身に付けておくことは適切な努力だと考えます。
ひょっとしたら売りの方が自分に合ってた、なんて意外な適正も発見できるかもしれませんし、ぜひ食わず嫌いを克服して空売りを学んでみていただきたいと思います。