長期投資の真骨頂は何と言っても『インカムゲイン』ですね。
株価の値上がり益を狙うキャピタルゲインと違い、株価に左右されずゆったりと保有出来るのが強みとなります。
また、キャピタルゲインはある程度ギャンブル性も高く、しっかりとテクニカルの勉強やメンタルの強化を図らないと、大きく資産を失う事にもつながりかねません。
従って『あまり株式投資について深く掘り下げるつもりはないけれど、投資信託の積み立て以上のパフォーマンスを得たい』と考える人にとっては、インカムゲイン投資は採用しやすいのではないでしょうか?
しかし、単に高配当株を上から順に買えば良いのか?と言われれば、それはノーです。
今回は失敗の少ない高配当株投資の方法をご紹介したいと思います。
わたくしが実際にやっている選定方法の1つですので、参考になれば幸いです♪
もくじ
STEP1.まずはスクリーニングをしよう
今回は試しに現在の最高配当利回りであると思われる銘柄をスクリーニングして抽出してみましょう。
数をなるべく抑えるために条件を“配当利回り10%以上”としたところ、7件がヒットしました。
まとめてみましたのでご覧ください↓
配当利回りとは、現在の株価に対しての配当金の%を表しています。
株価1000円で年間100円の配当金であれば、配当利回りは10%、といった感じですね。
東証1部銘柄の平均配当利回りは約2%程度だと考えると、上の7銘柄はとんでもない高配当株だとなりますが、果たして本当でしょうか?
次のSTEPで検証してみましょう。
STEP2.高配当の真偽を探る
スクリーニングをした高配当銘柄の数字をそのまま鵜呑みにしてしまうのはかなり危険です。
試しに1位の前田道路をチェックしてみたところ、何と通常の配当金100円にプラスして“特別配当として650円”が上乗せされていました。
650円+100円÷2014円(株価)=37.24%の配当利回りとして掲載されていたわけですね。
このように、スクリーニング時に高配当として抽出された銘柄の中には“記念配”や“特別配”など、限定的な配当も含まれてしまいます。
しっかりと過去や今後の配当予想をチェックして、違和感があってもなくても必ず会社から出されているIRを読みましょう。
続いて、日産自動車を見てみましょう。
配当利回りは14.90%となっているようですが、これも調べてみると…
2018.9に28.5円、2019.3に28.5円で合計57円を現在の株価で算出してしまっています。
なお直近の配当は、2019.9に10円、2020.3は無配となっており、現在購入しても配当金は無配となってしまっています(2020.9予想では0~10円となっていますが)
配当利回りの計算は過去の配当金から計算されていることも多く(おそらくほとんどの情報提供サイトは決算毎に更新される)確定された配当金の段階から、何かしらの業績悪化で株価が暴落し、数字上、超高配当と表示されてしまっているケースも多々あります。
あり得ない高配当利回りの銘柄にはこれらのケースがあてはまる事が多いため、現実的な数字から銘柄を調べる方が無難です(そもそもそんな高配当銘柄が問題もなく眠っていたら、投資家の爆買いであっという間に株価が高騰するでしょうしねw)
STEP3.じっくりと機会を待とう
それでは具体的な高配当株投資の中身についてご紹介していきましょう。
一番は『相場の全体暴落中に集中して購入する』のが理想ですが、相場の上下は誰にも読めません。
上手く何とかショックが起こり、購入機会が得られれば良いですが、今日が一番安い日で、数十年株価が値上がりし続けるということもあり得ます(かなり低い確率ですが)
例として日経平均の過去10年のチャートを見てみましょう↓
例えば2013年を見てみると、年初からほぼ1本調子で上げていますね。
ではそのあと、その価格を下回ったかというと、今回のコロナショックをもってしても2013年初頭の株価にはかすりもしていません。
しかし、今後二度と2013年初頭の株価水準まで下がらないか?と聞かれても“分からない”と答えるしかありません。
安い頃の株価に固執してしまうと、永遠に株は購入できなくなってしまいます。
そこで、わたくしが行っている高配当株投資のタイミングとして採用しているのが『年に数回ある暴落時にまとめて購入』という手法です。
感覚的に年におよそ2~3回は、大きな株価の調整が起こります。
そこでギリギリまで引き付けたところに余力を全て高配当株につぎ込みます。
そしてまた次の株価の大きな調整時期を余力を貯めながら待つわけです。
もちろん、調整のない年もあるかもしれませんが、そこは余力を更に蓄えられると前向きに考えて無理に購入しないルールにしています。
株価の大きな全体調整というのは、人気のあるもの(買いが溜まっているもの)ほど大きく調整します。
高配当株ですらそれは例外ではないので、下がり切ったところを一気に購入すれば思いもよらない超高配当株をGETできるチャンスです。
もちろん、暴落の原因がその高配当株の業績に大きく影響を与えるものであればしっかりと考える必要はありますが、たいていは一時的な落ち込みと言うのは数年かけて戻ることが多いです(会社の存続が危ぶまれるほどの問題であれば例外ですが…)
また、長期投資家の絶対的な強みとして、毎月一定の収入からの“入金力”が挙げられます。
買い時はこのようなルールを作って固定して、中途半端な時期に高値で掴まないようにした方が好結果に繋がると思います。
以上が買い時のポイントですが、次のSTEPでは具体的にどのように銘柄を選定するかを紹介しますね。
STEP4.全体暴落時の銘柄選定方法
前提条件にあった”全体暴落の原因が銘柄に与える影響”は、その暴落の内容によりますので、ここでは除外して考えます。
従って、今回は純粋な株価の全体調整時の選定方法となりますのでご了承ください。
まずスクリーニング条件としては全体暴落中という事で、配当利回りは“5~10%”の範囲で抽出してみましょう。
これは普段3~5%程度の高配当株が、全体暴落に巻き込まれて更に配当利回りが上昇しているためです。
個人的には通常時でも3%程度の配当利回りは最低でも欲しいところなので、この範囲の検索となります。
ここで1点注意です。
高配当の銘柄を狙うと言っても、個人のスタイルによって狙う銘柄は大きく変わってきます。
現在、配当は抑え目だが、会社の成長と共に増配を狙っていく“グロース株狙い”なのか、増配は期待しないが、安定した利益と財務を兼ねそろえた“ディフェンシブ株狙い”なのか。
個人的には両方をバランスよくポートフォリオに組み込む方が、投資の楽しみも得られるのでオススメです。
ディフェンシブ株を選ぶ時に見るべきところは…
- 財務の安定度(自己資本比率と有利子負債の大小)
- 配当性向(会社の利益からいくら株主に還元しているかの数字。ディフェンシブ株の場合は高ければ高いほど良い)
- 売上高&配当金の安定感(横這いならOK)
- 景気敏感株を避ける(不況時に大きく落ち込む業種)
などを注意するといいでしょう。
反対にグロース株を選ぶときは…
- 高ROE(経営者の手腕が分かる)
- 売上高&配当の伸び(会社の成長と株主還元の確認)
- 今後期待できる業種(IT系や独自の技術を保有しているなど)
- 中期計画などによる会社拡大の意思(海外展開や業務提携など)
などがチェック項目となります。
STEP5.銘柄入れ替えやリバランス
会社は生物ですので、経営者の交代や子会社の不祥事などでいつ状況が変わるかわかりません。
長期投資と言えどしっかりと会社を見守る事だけは忘れずに行って欲しいので、目が届かなくなるほどの銘柄数を保有することはあまりお勧めしません。
また、高配当かつ優待もある銘柄は、それ目的のお金が集まっているとみてよく、それらの条件が崩れた時には大きく売られるでしょう。
株価の下落が一時的で、購入時の前提条件を維持しているようであれば、売却の必要はありませんが、株数を増やすことは一定のギャンブル性があると思っておいてください。
個人投資家が得られる情報はたかが知れており、本質的にもっと大きな問題が会社内部で起こっている可能性もあるため、安易なナンピンは火の手を広める事になりかねません。
ナンピンは全体暴落時のみ行うと失敗も少なくなると思います。
ただし、購入時の前提条件が崩れ、かつ今後も期待が出来ないと判断したら迷わず売却してしまいましょう、資金拘束も長期投資家にとってはリスクです。
まとめ
今回の記事は高配当株をどのようにして探すかのひとつの例としてご紹介しました。
人によって様々あるとは思いますが、共通していることは“なるべく高配当になった状態で購入したい”という事になると思います。
株はタイミングと言われることもあり、いくらいい銘柄でも買い時を間違えれば値上がり益で儲けることはできませんが、配当金ねらいであれば比較的タイミングは甘くても大丈夫です。
とはいえ安く買えれば資金効率も良くなり、結果的にインカム狙いでも恩恵は多大です。
“入金力”と“購入タイミング”と“銘柄選定”の3拍子が揃えば、数十年後には配当金だけでかなりの収入を得ている未来も難しくありません。
今回の記事を参考にして頂き、自己流にアレンジしたり研鑽を積んで、ストレスフリーな配当金収入をコツコツ積み上げていきましょう♪
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